サザンと若大将の似合う湘南。海を眺めればサーフィンにヨットとマリンスポーツが溢れかえっています。そんな湘南から東へ向かった葉山の地は、御用邸もあり別荘地もありと、ちょっと落ち着いた雰囲気に。海沿いの細めの道路を進むと、海側に鳥居が見えました。

葉山総鎮守の「森戸大明神」です。

鳥居をくぐって参道を進むと、左右にはサーフショップにちょっとおしゃれなカフェ。さすが葉山。参道は海側に向かって伸びています。

海からの風にあおられて斜めに枝を伸ばす松の木。訪れたのは12月で空が寒々しかったですが、夏であれば白い石畳に青い空でリゾートな参道となるに違いありません。

まずは参道を真っすぐ進み、本殿へお参りを・・・。

海につきだした小岬の先に、清々しく空に包まれるように拝殿と本殿が建っています。

永暦元年（1160年）、平治の乱に敗れた源頼朝は伊豆へと流されます。そこで三嶋明神（伊豆 三嶋大社）を信奉し、源氏の再建を祈願したといいます。治承四年（1180年）、旗揚げに成功した折に、その加護に感謝して、拠点の鎌倉に近いこの葉山に三島明神を勧請しました。歴代の将軍が訪れ、流鏑馬、笠懸、相撲といった武神事を行ったと「吾妻鏡」にあります。
相模湾が一望出来るこの位置は、海からの侵攻より鎌倉を守るための拠点としても重要だったのかもしれません。

祭神	大山祗命（おおやまつみのみこと） 事代主命（ことしろぬしのみこと）

伊豆の三嶋大社と同じ祭神です（伊豆三嶋大社は、伊予大山祗神社と共に、全国の三島神社の総本社）。大山祗命は元々は山の神ですが、伊予のように島に祀られることも多く、海の神としても信奉されました。

ちなみに、この地には元々は日吉山王（大山咋神・大物主神）が祀られており、本殿の後ろ側に小社があります（右写真）。

さて、本殿から少し参道を戻ります。

参道の左右にある石燈籠。この基礎の彫刻に注目！

左右に一柱ずつ。波兎が跳ねています。こちらは右側。まるまるとした波に踊る、これまたまるまるとした神兎が鎮座。

こちらが左側。流れるような波に、スマートな神兎。
左右の燈籠で時代が違うのでしょうか。左の方が新しく見えます。

さらに、火袋の下側には干支が配されており、ここにも兎がいます（左側燈籠）。基礎とは違って右に向かって跳ねていますね。
右側の兎は判別しづらくなってしまっております。位置的におそらく赤丸の中でしょう。

本殿向かって左手にも同様の石燈籠があり、基礎には神兎はいませんでしたが、火袋の下には干支兎が跳ねていました。

湘南の地にふさわしいサーファー神兎達です。

サーファーといえば、社務所には、この地ならではの「水難除けお守り」が。この他「えびす大漁お守り」があるのは、祭神の事代主命の別名が恵比寿神であるからでしょう。海といえば、ということで、恋愛成就系も充実。

また摂社に水天宮がある関係で、子宝祈願に訪れる参拝客も多いようです。

また、参道途中の絵馬所では…。

犬や猫に並んで兎の姿が描かれた絵馬がかかっていました。これは摂社である「畜霊社」に奉じられたもの。家畜（ペット）の守護神とのことです。

この葉山の地に合わせたご神徳の数々です。

本殿裏手はすぐ海になります。岩の上に生えているのは、頼朝が褒めたと伝えられる「千貫松」です。・・・それにしては細いような・・・？子孫でしょうか？

はるか沖には、鳥居が。名島（菜島）と呼ばれています。祀られているのは龍神であるとのこと。

海を眺めていると…

水平線に蜃気楼が見えました。水平線の向こうの半島や船が浮き上がってみえており、神秘的。頼朝もこれを見たのでしょうか。

さて。
せっかく海に来ましたので、海の幸を頂きましょう。

神社のすぐ近く。地元の方から愛される魚料理の「魚佐」さんです。

１人前でこのボリュームの刺身定食。

肉厚のアジをカラリと揚げたアジフライ定食。これ最高です。