明月院の月世界(神奈川県鎌倉市)


北鎌倉にある有名な「あじさい寺」。毎年6月になると境内いっぱいの紫陽花を見に、観光客がどっと押し寄せます。そして、この寺は「うさぎ寺」でもあるのです。

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北鎌倉から、さらに北の藤沢方面へ。踏切手前で右に折れると、明月院に通じる細道に。晩秋で、銀杏が目一杯色づいています。

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小道の奥に佇む「明月院(めいげついん)」。禅宗である臨済宗建長寺派の寺院です。

1256年鎌倉第5代執権の北条時頼が最明寺を創建。時頼の死後、文永年間(1264-75)に子である時宗が禅興寺を再興します。1380年(康暦2)、関東管領上杉憲方によって中興し、寺域を広げました。やがて、明治元年に禅興寺は廃寺となったが(廃仏毀釈かな?)、塔頭(たっちゅう:禅寺で高僧などのために建てられる小院)であった明月庵改め「明月院」のみが残っているとのこと。

「明月院」の名は、憲方の法名である「明月院天樹道合」より。

ご本尊は、聖観世音菩薩。
観音菩薩(観世音菩薩)には様々な形態のものがあり、このうち多面多臂などの超人間的な姿(例えば千手観音)ではない、1面2臂の像を指して聖観音と呼んでいます。正観音とも呼ばれます。

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紅葉に彩られた拝観口を左に抜けると・・・。

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橋の欄干に佇む兎が一柱。
な、何をしてらっしゃるので・・?

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反対側に回ってみると亀もいますね。

ということは、「うさぎとかめ」の寓話がモチーフでしょうか。ちなみに「うさぎとかめ」はイソップ物語等に収録されている物語。足の速い兎と遅い亀が競争をし、慢心した兎が、一生懸命頑張った亀に負けてしまうという、神兎研としては大変残念な話です。
詰めを誤るのは、因幡の素兎の説話でもそうなんですよね。実に残念(笑)。

並んで川を眺めるのは、禅寺的に何か意味があるんでしょうか。
ひょっとしたら、競争などそもそもする必要が無いのでは、ということを説いているのかもしれません。

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拝観料(500円)を支払いますと、パンフレットをもらえます。
有名な丸窓の前に跳ねる兎の絵。
丸窓を月になぞらえています。

そう。「明月院」は、「月」だから「兎」なのです。難しく考えなくて良いようです。

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もう少し進み、拝観口近くのトイレ前の広場なのですが・・・

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「月の広場」と名付けられ・・・

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!?
・・・月の広場ですから、兎がいるのは当然・・・か・・。

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クリスマス飾りのついた小屋に入ろうとしている兎も。
ネットで検索すると、ここの兎達は季節に合わせて飾り付けが変わるようです。

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最明寺を創建をした北条時頼公の廟。
時頼の時代には、北条政権は盤石のものとなり一族の全盛期。一方、深く禅宗に帰依していたそうです。

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隣には墓所。
北条氏家紋の「三つ鱗」が、鎌倉を感じさせます。他ではあまり見ません。この三つ鱗、北条政子の父・北条時政が江ノ島弁財天に祈りを捧げたところ、赤い袴の美しい女房が現れて神託をし、去り際に大蛇となって、3枚の鱗を残していったといいます。

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山に目を移せば鮮やかな紅葉。

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その山裾には、茶屋「月笑軒」があります。
「月が笑う」は井上陽水でしたっけ?

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入口脇のメニューに兎が踊っていました。抹茶に和菓子、珈琲。食器がピーターラビットだったりするらしいです。

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黄色く色づいた楓。

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境内を奥へと登っていきます。

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表参道。
両脇は全て紫陽花です。戦後、先代のご住職が「手がかからないから」という理由で、挿し木を続けた結果、境内一面に広がったとのこと。また梅雨頃に来たいですね。

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中門を抜けると、方丈(本堂)と枯山水があります。
この枯山水は須弥山を表しているとのこと。須弥山とは仏教世界観の中での世界の中心にある山。この山裾に人間が住んでいると言われています。

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そして方丈。
建立はいつごろでしょう? そこまで古くないと思いますが・・・。
おや?人だかりが・・・。

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人だかりをのぞき込むと・・・

・・・なるほど。ここが有名な丸窓のようです。

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正面から見ると見事です。
赤毛氈を敷いた室内から、丸窓で切り取られた奥庭の紅葉。美しい。
丸は禅宗においては悟りを表します。煩悩が消された世界。

そして、この明月庵では、丸窓は月でもあります。
とすれば、窓の向こう側に見えているのは、月世界ということにならないでしょうか。

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そういえば、方丈の屋根の鴟尾に天女が配されていました。珍しい配置だと思います。

お寺の方には聞けませんでしたが、ひょっとしたら、月世界の天女達ではないでしょうか。
方丈の中を人間界として、そこに坐すれば、前庭には仏の世界の須弥山がそびえ、奥には月世界が広がる。そんな空間を目指しているように思えてきました。

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方丈の玄関脇には、兎が一柱控えています。

せっかくなので月世界へ参りましょう。
花菖蒲が咲く時期と紅葉シーズンのみ、奥庭が公開されます。別料金500円。ちゃりん。

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月から見た地球=方丈が、こちらになります。

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真っ赤に色づく月世界。
花菖蒲は植え替えをしていました。季節になれば藍色の菖蒲が一面に咲き、八つ橋が間を渡してありますので、ちょうど尾形光琳の屏風絵の趣となります。藍色の月世界も綺麗ですね。

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さて、方丈の隣の社務所には、お守りがあります。
「福うさぎお守り」(500円)は、説明書きに「うさぎは とんではねはね つきをよぶ」と、「月」と「ツキ」がかかっています。目を輝かせた兎がかわいい、開運お守りです。

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さらに「宇宙まもり」(800円)。
透明な容器に入った兎は、かなりの美兎です。

「あなたの体も小宇宙」と説明があります。というか、それ以外に説明がありません。台紙には、月に照らされて浮かぶ地球の絵。スカイツリー的なものと、ロケット的なものが描かれています。

仏教においては、地球や月・太陽の存在する大宇宙と同じように、人の心の中に小宇宙が広がっていると考えられています。つまり、“心の宇宙を旅しなさい”ということでしょうか。間違いだったらすみません。

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で。方丈の近くに、小屋があります・・・。

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!?
「うさぎの宇宙ステーション。ネロとユズ号の発射は満月の夜です」とあります。
??

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そして、本物の兎。

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どうやら、満月の夜に月へと旅立つ兎達、ということになっているようです。

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宇宙船艦長のネロ氏。ちなみに2つ前の写真は乗組員のサラ氏。

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人工衛星「明月号」!

・・・深く考えてはいけないようです。かわいいからいいじゃないですか。

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ちなみに、明月院の見所がもう一つ。
山の端に「明月院やぐら」と呼ばれる、墓所があります。一番大きいものが、明月院の名の由来ともなっている上杉憲方の墓所と言われています。

「やぐら」とは、鎌倉特有の崖をくり抜いて作った墓所のこと。鎌倉では三方を山に囲まれ、平らな土地が貴重でした。そのため平地に墓所を作ることを禁じられた結果、崖に横穴を掘った墓所が出来上がったのでは、と言われています。時代としては鎌倉~室町時代。鎌倉を歩くと、この「やぐら」に良く出会います。

歴史が積み重なった街です。

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クリスマスモードの明月庵を後にします。

門前すぐにあるのが「茶寮 風花」。「うさぎまんじゅう」で有名です。

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店内には、うさぎグッズがたくさん。

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手作り携帯ストラップも。

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中でも目を引いたのが・・・

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こちら。着ぐるみ?の兎です。

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とぼけた表情がなんとも言えません。「蝉丸」と銘があります。

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近くのおみやげ屋でも販売されています。「蝉丸」は、明月院近くに工房を持ってらっしゃる造型作家さんだと教えてもらいました。ホームページも発見!こちら

ところで、腹減りましたね。

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明月院通りを出てきたところに「けんちんうどん・そば」とノボリを掲げている店がありました。
近くにある臨済宗の大本山「建長寺」。建長寺の僧が食べていた「建長汁」がなまって「けんちん汁」になったという説があります。

ちょうど「建長寺」と「明月院」の間にあるのが、こちら「鎌倉五山」。建長汁と紫陽花ご飯が両方楽しめます。

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「紫陽花セット」(1050円)
紫陽花ご飯(かやくご飯)に、建長汁がセットになっております。建長汁は、精進料理ということで動物性の出汁は入っていません(多分)。大根、人参、ごぼう、里芋、こんにゃく、そして、豆腐を炒めて、昆布と椎茸の出汁で仕上げます。

ちょっとたんぱくな味ですが、体が中から洗われる感じじゃないですか。

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「建長うどん」(800円)
アツアツです。寒い中、神兎研お疲れ様でした。


明月院の月世界(神奈川県鎌倉市)」への2件のフィードバック

  1. ちゃぶち@管理人 投稿作成者

    ゆうさん、ありがとうございます。
    鎌倉は大好きな場所です。明月院もまた花の時期に訪れたいです。

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  2. ゆう

    鎌倉はうさぎがたくさんいますね。
    こちらのブログで来年明月院に行くことにしました。
    ありがとうございました。

    返信

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